【21年2Q決算:プラグパワー】PLUG売上の伸長率はハイパーグロース並み!?勝負は3Q以降へ

めーめーおじさんです。

私のマイPFの主力銘柄であるPLUG(プラグパワー)が2021年第2四半期決算を発表しました。結論を言ってしまえば、非常に良い決算だったのではないでしょうか。

EPSはアナリスト予想を超えられませんでしたが、それでも売上の伸長率には目を見張るものがあります。決算至上主義の投資家さんから見たらク〇決算だったかもしれませんが、私自身は決算から読み取れる将来への成長性へ賭けて投資を行っているわけで、理由が明確になっていれば特に気にせず投資を行う方針をとっています。

今回、PLUGの決算を見ていますと、最近は本ブログでも指摘している通り、黒字化まであと少しというところまできていますので、このハードルを越えてきた場合には一気に株価が噴くのではないかと考えています。

まあ長々と前置きを書いても仕方がありませんので、今回の決算内容を簡単にまとめていきたいと思います。

2021年第2四半期決算の要約

・売上高 1億2456千$(+83.2%)予想〇
・EPS -0.18ドル(前年差▲0.15ドル)予想×

と、EPSは大きく予想を下回ってきましたが、いつもの如く売上については前年を大きく上回ってきました。一般的にハイパーグロース株と呼ばれる銘柄については、定義として成長率40%以上の企業と言われています。

個人的な印象としては70%~80%をコンスタントに出してくる銘柄と思っていますが、2020年第4四半期決算を除けば、ここ直近4半期の売上伸長率を見ると全て+70%以上を叩き出しています。
※過去記事を振り返られるように一番下に貼り付けてあります。

当然こういった企業の特徴としては市場シェアを獲得するために大きく投資を行う、もしくは売上伸長を重視する傾向から利益面が低く出がちです。

今回のアナリスト向けの電話会議で話していた内容を見ていると、利益面より売上についての質問が多かった印象です。それだけ今のPLUGはノリに乗っている状態なのかなと感じます。

そして、セグメント別の売上状況も確認してみましょう。

・Cash and cash equivalents 31億6017千ドル
現金は日本円で約3476億円(1ドル=110円)もあります。第1Qが約4800億円持っていたわけですから、この3か月間で約1300億円を使った計算になります。この3カ月で何に使ったのかと疑問に思いましたが、ここについてはよくわかりませんがPurchase of available-for-sale securities(▲15億ドル)となっていまので、この当たりが原因かなあと思っています。
会計に疎いので申し訳ありませんが、何となくの予想でルノーとの合弁会社設立などへの出資金に使われているのかなと考えていますが、この辺はもっと詳しい人の情報発信を待ちたいところです。
どちらにせよ潤沢な資金は確保していることから、今後も必要な部分へ積極的な投資を行い成長に繋げてくれると考えます。

・Sales of fuel cell systems and related infrastructure
PLUGの主力事業となるわけですが、売上構成比80%と屋台骨となっています。売上伸長率も大変素晴らしいもので、前比+107.9%とここ1年で2倍に伸長しています。
1Q-2Q累計でも前比+114.1%となっていますし、順調に事業が進捗していることを考えると3Q以降も同じような数字が出てくることが予想出来ます。同部門の粗利益率19.5%は前年同期に対して▲9.5%悪化です。

・Fuel delivered to customers
今決算においても利益面を圧迫しているのは同部門です。売上伸長率+50.8%に対して、コスト前年伸長率+264.1%(+2925万ドル)と超絶悪化しています。この部分については後述しますが、一時的な部分に留まりそうだという予測が出ていますので、3Q以降の数字に関しては改善してくるのではないかと考えています。

主なトピック

続いては気になるトピックスをまとめていきます。ざくっと要約していきます。

・1Qでも強調したが、2Qにおいても燃料問題の関連コストが約3100万ドル、コロナ関連で約400万となった。水素ベンダーの移行費用だけで燃料関連コストの2/3を占めた

・2Qでは予想を遥かに超えた不可抗力なイベントにより前例がない供給圧力を受けたため、水素価格は高騰したままだった。最終顧客へ途切れの無いサービスを提供することを重点に置いているため、2Qは水素のコスト高の影響を受けた。

・歴史的な供給混乱の中でも顧客への影響を最小限に抑えるために産業ガスパートナーと協力し、トレーラー動員に関連する多額の費用が発生した

・PLUGは価格が大幅に上昇した特定の産業ガス供給事業者から完全に移行した。新しいタンクへの一時的な移行コスト、サイト変換、契約終了料金を行い、今後低コストの強力なパートナーと協力準備が整った

・コロナによる物流業界への世界的な影響を考えると、2021年後半まで運賃、材料費への影響は続くが、危機が収まるにつれそれも落ち着いてくるはず

・供給多様化への継続的な努力と水素価格下落、コロナ関連コスト低減により、下半期までに利益率の改善が見込まれる

・電解槽事業の成長は2021年は対2020年比で400%を超えると推定され、2024年までは堅調に成長すると予測される。今の進捗を考えると損益分岐点を僅かにプラスになるのは2022年初頭には実現し、2024年マージン目標まで向かって進むと予想される

・合併事業活動に関連したコストが増加している。2021年に新規プラットフォームを実行するために、これらのコストは継続する

【HYVIAについて】

・ルノーグループと50:50の合併会社を設立し、2030年までに欧州市場で50万台規模になると予測される燃料電池式小型商用車市場シェア30%をターゲットにしていく

・PLUGのいくつかのチームが仏にあるHYVIAチームに参加するために移動した。3つの燃料電池車モデルを今年度末までに発売する予定。これらはルノーマスタープラットフォームに基づき、給油所配備とグリーン水素の供給も伴います

【北米におけるグリーン水素供給ネットワーク構築と継続について】

・米国南東部の顧客にサービス提供を行うために、ジョージア州カムデン群に3番目のグリーン水素プラントを建設することを発表した

・同プラントは100%再生エネルギーを使用し15トン/日の液体グリーン水素を生産することが期待される。この水素は、マテリアルハンドリング、燃料電池車、フリートなどの輸送アプリケーションに供給することを目的としている

【新規市場での継続的な拡大、水素駆動電気バスとBAEパートナー】

・BAEシステムと協力し北米輸送システムにPLUGの水素燃料電池技術の採用を進めていく

【成長目標を達成するために人材を追加】

・この1年間で人員を100%増やし、いくつかの新しい地域に拡大した。2021年7月にテスラのギガファクトリー運営を主導したデイブを採用した。デイブはPLUGの製造業務の近代化を主導し、グローバル製造施設のパフォーマンス最適化をする責任がある

(原文まま)
Plug Power remains focused on, and is continuing to execute against, its four top priorities:
● Accelerate expansion in green hydrogen generation business.
● Successfully launch JVs with Renault and plans to launch JV with SK Group and Acciona in the second half of the year.
● Continue to expand via partnerships, joint ventures, and acquisitions in the hydrogen ecosystem.
● Expand customer relationships across all businesses to achieve $750M in gross billings in 2022.

PLUGは引き続き4つの優先事項に焦点を当て実行をし続ける

・グリーン水素製造事業の拡大を加速します
・ルノーとの合併事業立ち上げに成功し、下半期については(韓国)SKグループと(スペイン)アクシオナとの合併事業立ち上げを計画している
・水素エコシステムにおけるパートナーシップ、合併事業、買収を通じて拡大を続けます
・2022年に総請求額で7億5000万ドルを達成するために、全てのビジネスで顧客関係を拡大します

とりあえず枠線に囲った部分が全てですね。今四半期も1Qに引き続き水素価格高騰などが利益面で大きく悪影響を及ぼしたようようですが、内容を見ているとほぼ一時的な影響に留まりそうです。

マネックス証券での動画配信があり、その中で2022年には黒字化が達成出来そうだと言及されていましたが、この辺も織り込んで言っているのでしょう。

気になるのはコロナ関連コストですが、収束の兆しが未だ見えない事から、この辺がまだ経営の重しにはなってきそうです。

しかし、産業ガスベンダーの切り替えを行った事によるコスト圧縮効果は継続して出ますから、この辺はポジティブなのと、何よりもグリーン水素生産プラントを継続して建築していっていますから、今回のような突発的なイレギュラーに対しての対応力は間違いなく向上していくのは良い方向性です。

また、SKグループとアクシオナとの合併事業の話ってこれまで出てきていましたっけ?私がチェックを漏らしていたのかな。これがどのように展開していくのか事業内容の詳細が楽しみです。

収益コール

収益コールの内容及びアナリストとのやりとりで気になった部分を抜粋していきます。

・今回短期的な影響を及ぼしたイベントでは南東部で2カ月停止した水素プラントによるものだった。局所的な混乱は米国の水素ネットワークに影響を与えた。

・なぜ今回の件に関してのコストを吸収したのか?それは私たちが短期的に市場からの課題から顧客を保護することが報われるだろうと信じているからだ。顧客が、水素を利用可能であると期待でき、更に重要な事は顧客ニーズを満たすPLUGへ信頼できることを知ってもらいたいと思います

・今後数四半期でエキサイティングなニュースが発表される。2021年は総請求ガイダンスを5億ドルに増やしている。これは2020年の数字から50%以上増加することを意味する

・新しいギガファクトリーでは、新しい製造プロセスで最先端の自動化装置を利用している。PLUGは燃料電池と電解槽の販売、設計において、これまでにない能力になるように動き、世界的な製造リーダーになります。そのためにネバダ州のテスラギガファクトリーを経営していたデイブを雇用した。

※以下アナリストとのやりとり要約

Q:今回の顧客に対する水素コストをいくらか吸収する必要があるのは理解しているが、水素ネットワークを構築する際に、将来の契約にそれを回避する内容を組み込む必要はあるのか?
A:我々の目標はグリーン水素を経済的にする事、グリーン水素ネットワークを構築する事。このような不可抗力に対して真剣に考えています。業界に混乱が生じた場合には価格を引き上げてそのような状況に対処するでしょう。ただ我々の目標は水素コストの低価格化を確実にすることです。そうすれば、ますます多くのアプリケーションが正しく開かれます。それが我々の考え方。
そして実際には我々は利益機会の最大化を確認するつもりはない。繰り返しなるが、過去に決めた重要な事の1つは、最終顧客が今日支払っているグレー水素の価格と同じ価格でグリーン水素を確実に入手できることにすること。
更に重要なことは、水素がますますユキビタスになり広がるにつれてエコシステムを実際に構築することに焦点が当たってくる。

Q:ガイダンスを引き上げているのは来年も自信があるように見える。それは主力のマテリアルハンドリング、それともデータセンターのようにターゲットにしている他分野で勢いを増すのか?
A:来年への自信の高まりは、マテリアルハンドリング事業の継続的な業績に関係していると言って良い。また固定市場にはアクティビティとデータセンターがあります。EVの場合、人々が送電網に電力を送るのに苦労しているが、我々は恐らく来年にはEV車両へ電力を供給するための固定製品の提供するビジネスで2500万~3000万ドル出来る事でしょう。
いくつかの問題でカリフォルニアの法律に関してディーゼルエンジンを動かす事が出来る時間には限りがあります。そこで我々は定置型電力製品の導入と建築物のバックアップについて5つの大口顧客と話しあっています。

Q:ギガファクトリーにおけるスタック生産、電解槽生産の潜在的なコスト改善について、重要なコスト削減は見えてきていますか?PLUGの長期的利益を解き放つためのカギとなるものはありますか?
A:我々は工場の自動化を進めコストを大幅に削減するためにデイブを連れてきた。色々と改善してコストは20%下がると思います。我々は昨日ギガファクトリーの建築過程を見守ってきたが、これは我々のコストについてゲームチェンジャーになると思ってる

Q:マージンの課題について、2Qが総損失の底であり今後改善すると想定出来ますか?
A:その質問に対して簡単な答えは「はい」です。2022年に入れば明らかにマージンの傾向が改善することを期待します。今年後半に再び大きな不可抗力が発生しなければ、この傾向は改善されるはずです。

Q:インフラストラクチャー法案に関する件で触れたい。明らかに大きなチャンスです。天然ガスとブルー水素について考えると、それはPLUGがターゲットにしているものか?それともPLUGgはグリーン水素という理由だけで傍観しているだけなのか?
A:環境への影響でコストがかかるので最終的にはグリーン水素が勝つと基本的には信じています。ブルー水素とグリーン水素のサポートの差は歴然です。正直なところ社内、バイデン政権でさえ炭素回収に取り組んでいるわけではないと思います。我々にとってチャンスはグリーン水素にあると信じています。

まとめ

今回の決算では現在の課題、将来への見通しがはっきりした良い決算だったのではないかと考えています。特にアナリストからの質問は3つに分けられたと思います。

①利益を圧迫した水素価格高騰について
②グローバルに広がってきた事業内容について
③ギガファクトリーについて

①については非常に丁寧に説明していた印象です。確かに一時的なものなのか、構造的な問題なのかで大きく意味合いが変わりますからね。そういった意味では2Qは底になるだろうというコメントは力強く感じました。

何度もしつこく言い続けますが、PLUGの最大の課題は赤字企業であるという部分ですから、これが黒字化まであと一歩というところまできているわけですから気になるのは当然でしょう。

3Q以降はこういった動きも織り込みながら株価は上昇していくものと私は予測していますが、テスラがそうであったように恒常的に利益をあげ始めるより前にインしておかないと、大きく株価上昇した時の果実を最大限受けれない可能性があります。

そういった意味では今が最大の買場であると考える要因です。株クラではテーパリングだなんだと騒いでいますが、結局は長期で見た場合は鼻く〇みたいなイベントなわけですから、むしろ正常化に向けた良い流れなわけで、こんなの気にしていたら投資なんて出来ませんね。

また私が特に心に響いたのが、今回の水素価格高騰に対してのPLUGの対応のうまさです。こういった時に目先の利益を追い求めていたら水素経済の裾野が広がりません。

まずは水素の需要者を増やすことが供給側(PLUG)の利益に繋がるわけです。これは世界的な一流企業であるトヨタも同様の戦略で動いています。

様々なパートナーと協力し需要の裾野を拡大し、水素供給を拡大し水素コストを低減する、そしてさらに需要が増えていく・・・、このルーティンに入ったら最強ですね。その先ではPLUGが世界の主要プレイヤーとなっている姿が想像出来ます。

そしてやはり元テスラのデイブ氏を雇用出来た事は大きいと感じます。PLUGの課題として感じている2つ目としては、事業セグメントの分散化が急務という事です。

主力のマテリアルハンドリング以外にも大きく収益を生み出している事業は今のところはありません。その中で様々な分野にグローバルに展開し始めているわけですが、その核となるギガファクトリーの運営、低コスト化は収益に直結する部分です。

メーカー勤めのサラリーマンの方なら常識だと思いますが、メーカーであれば工場単体の生産利益は利益の源泉になっていると思います。

とにかく赤字体質を黒字化に向けて取り組む事が重要な企業であるわけですから、こういった動きは歓迎するべきことですね。

本当にこの会社には期待しかありません。2021年の年初に見せたクリエネブームから大分経ち株価は当時の半分以下になりましたが休養は十分だと思います。

今回は本当にブームではなくじわじわと株価上昇に繋がって欲しいですし、今年後半からの株価上昇に期待したいですね。私は全力投資をしていきます。

※前回決算記事です。過去決算まとめ記事をここから随時遡れます。

【21年1Q決算:プラグパワー】PLUG株価爆上げと将来性に期待

ランキングに参加しています。励みになりますのでクリックして応援して下さると嬉しいです。