【米中】香港人権法案と経済・株価への影響
めーめーおじさんです。
皆さんご存知の通り、11月27日にトランプ大統領は「香港人権・民主主義法」に署名、同法案は成立しました。これを受けて中国政府は「重大な内政干渉」として猛反発しています。
香港は中国の「核心的利益」
米中貿易摩擦が激しくなる中、8月1日に中国の王毅外相とポンペオ国務長官がタイのバンコクで会談を行いました。その際に王毅外相は「香港は中国の核心的利益」と述べています。
核心的利益という言葉を使う時は、共産党体制に関わる重大案件を意味します。例えば、南シナ海や新疆ウイグル自治区と同列に香港は考えられているという事です。
一方で、米国も香港に対して中国本土と切り離し、関税やビザ発給で優遇をしています。これは、英国から中国へ返還されてからも一国二制度で高度な自治が認められているからです。
現在では死者が出るほど、香港政府に対する反政府デモが激しくなってきています。香港区議会選に関しては民主派が圧倒的勝利を収めましたが、共産党独裁体制を敷く中国政府が民主派へ譲歩をする可能性はありません。
米中貿易摩擦は通商問題にとどまらず人権問題まで波及している形となっており、短中期では来年の米国大統領選挙まで実態のない米中の対立→緊張緩和を繰り返し、意地でも株高を演出してくる流れになると思います。
経済と株価への影響は?
米中貿易摩擦のニュースにより、株価が上下に振られるケースが多いのですが、今後長期的に見ていった場合は楽観視出来ない状況と考えています。その最大の理由に「米国議会が対中関係に於いて最も強硬」であるとい理由があります。
香港人権法案は米議会上下両院で反対票が1票しかないなど、党派を超えて極めて異例な法案可決となっています。トランプ大統領は香港問題への言及は避けてきましたが、対中貿易交渉並びに、経済・株価への影響からと言われていました。
今回も拒否権を発動するか注目されていましたが、党派を超えた議会の動きと拒否権を発動した際の政治的リスクを考えると、拒否権を発動するという選択は無かったものと思われます。
また、この米国議会の動きは第2次世界大戦、日本が真珠湾攻撃を行った後に開かれた議会に於いて、対日宣戦布告を行った状況と一緒となっています。
※当時、下院議員のランキン氏が唯一反対
当然、中国側からのロビー活動は積極的に行われているはずですし、日本もそうですが親中議員も中にはいるはずです。それが、1名を除いた全議員が同法案へ賛成に回った意味と言うのは非常に大きいものがあると考えられます。
翻って中国側ですが、政府当局をはじめ様々なチャネルで米国への非難を強めています。特に一部報道では、中央電視台において「勿謂言之不預也」という言葉が使われたことが注目されています。
この言葉の意味は中国の外交用語で、武力行使も辞さない最終警告を意味します。過去、中国政府は、1962年の中印国境紛争、1967年の中ソ国境紛争、1978年の中越戦争の前に使用されている言葉となります(wikipediaによると19年5月29日にも使われたと書かれていますが詳細はわかりません)。
結局、トランプ大統領は声明で「習近平国家主席と香港の人々への敬意を込めて署名した」と述べていますが、中国への配慮というよりも、来年の大統領選挙を見据えて経済・株価への影響を最小限に抑えたいという意図の表れだと考えられます。
中国の経済状況は刻一刻悪化している
最近の中国に関係する数字はあまり芳しくありません。7-9月期のGDPが+6%の成長を達成していると公表していますが、度々指摘されるように中国の統計データは信頼性が欠けることを考えると、実態はもっと低い可能性も否定出来ません。
特にこれまで中国政府はGDP成長率を+8%を防衛ラインとして引いていたことから、その数値よりも▲2%下回っている状況となります。
ある意味では先進国と違い、新興国は高成長が当たり前であり成長が出来ないと社会情勢の不安定化に繋がります。
11月29日の日経11面では「中国、社債の不履行最高に」、ブルームバーグ「中国企業のデフォルト、景気減速で2020年も増加-ムーディーズ」といった具合に、中国経済も悲観的な内容の記事が増えてきました。
今後、中国の言う核心的利益に関しては譲歩する事は考えられず、米国も対中貿易摩擦=覇権争いの構図に人権問題まで絡めてきている状況では、短期的な緊張緩和はあれど長期的にはどちらかが倒れるまで続く可能性が高いと考えています。
投資は堅実に進めていきます
最近では米中貿易摩擦による影響よりも、世界的な金融緩和の流れで主要な株価指数は最高値圏にあります。これが来年の大統領選挙後にどうなってくるかが非常に不安なところです。
しかし、どのタイミングでリセッションを迎えるのかが私には全く判断が出来ません。また、安全資産と言われるゴールドや債券へ資金を移してもポートフォリオを極力シンプルにしたいのと、今の強気相場の恩恵を受けるためにも、インデックスを中心とした定期買付を決めたルールに沿って実行していきます。
余裕資金(現金)は、万が一の下落局面が訪れるまでは手持ちに置いて機動的に運用出来れば良いですね。
※分散投資をするならETFがおすすめです。個別銘柄を複数保有するより堅実に運用できると考えています。
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